第三回の「たべもの円卓会議」は、会員の北御門康さんの紹介で、名古屋オーガニック給食審議会会長で日本オーガニック給食審議会理事事務局長の清水公美子さんをゲストにお迎えし、名古屋市のオーガニック給食の未来や、くらしを耕すが貢献できるとしたら?などお聞きしました。
昨年、清水さんとお仲間のご尽力により、全国政令指定都市ではじめて、名古屋市の小学校にオーガニックバナナが提供されると、話題になりました。どのような働きかけで実現し、苦労した点など教えていただけますか?
名古屋市では署名活動ではなく、名古屋市議会議員さんと名古屋市教育委員会に対して、直接アプローチしていきました。
はじめは「料理の基本である調味料から変えたい」と思っていましたが、議員さんから「はじめなので、アピール力の強いデザートはどうか」と提案され、価格面や量(1日12万食)を考慮し、メキシコ産のバナナにたどり着きました。
260枚分に仕分けが必要なので、仕分け業者さんを探したり、値段も他の日の予算を振り向けてもらったりして、導入の段取りを整えてから、議員さんに議会で一般質問として議題にあげてもらい、教育委員長が承認する形になりました。
政令指定都市でははじめて、ということで、メディアにもたくさん取り上げて頂き、大きな話題になりました。
これからも、学校給食のオーガニック比率をあげるべく活動を続けていかれると思いますが、展望と課題を教えていただけますか?
次は、当初の目標のとおり、調味料(特に塩)と、米を変えていきたい、と思っています。特に、米は名古屋市内に福祉連携で自然栽培米を生産しているグループがあり、生産規模も大きく販売余地もあるそうなので、連携していけないかと模索しています。
主な課題は、3つあります。
課題1 価格が安い
有機米でも、給食センターの買取価格は、般栽培と同じ、白米で290円/kg程度です。
そのため、納入してくれる有機農家を見つけることが困難です。
課題2 量が多い
1日で120万食、約1t必要になります。これだけの量の生産能力があり、かつ販売力のある農家を見つけることも困難です。
課題3 炊いたご飯を納入している
名古屋市では給食に炊飯設備がなく、加工会社から炊飯ずみのご飯を納入しています。
なので普段と違う有機米を加工会社が対応してくれるか、対応してくれても加工賃があがることが想定されます。
くらしを耕す会で取り扱いさせていただいている、福盛屋さんのこだわりのお豆腐が学校給食に使われ、学校までの配送を耕す便の配送をしてもらっているダイサンロジタスさんが担うなど、くらしを耕す会の周辺でもオーガニック給食化の一旦を担っています。
くらしを耕す会でも、名古屋市学校給食のオーガニック化にお役に立てることは何かありそうでしょうか?
実は農水省にもアプローチして、国の「みどりの食料システム戦略」に販路として学校給食を盛り込んでもらい、オーガニックビレッジ構想(※1)の補助金を給食食材の補助にも使えるように働きかけ、実現しています。
名古屋市には、現在オーガニックビレッジ構想に関心を示してもらえていませんが、先日、河村市長と面談し、「給食にお米ならいけるんじゃないか、提案もっといで」と言って頂いています。
ですので、自然栽培米の生産グループや、ほかの愛知県内の生産者さんに協力を仰ぎ、消費者や企業も組み込んだオーガニックビレッジに参加するための協議会設立を目標にしています。
くらしを耕す会さんにもご協力貰えればしいです。
ぜひぜひぜひ!
ということで、子どものために動きだしたお母さんのパワーが、大きなうねりを生み出していました!
くらしを耕す会としても、少しでもお役に立てるように、一緒に取り組んでいきたい、と思いました。
※ オーガニックビレッジ構想
有機農業の生産から消費まで一貫し、農業者のみならず事業者や地域内外の住民を巻き込んだ、地域ぐるみの取組を進める市町村を農林水産省が順次創出し、横展開を図っていく考えです。丸山農園、とりのさと農園のある愛知県南知多町と、郷蔵米のある岐阜県白川町は、今年度のオーガニックビレッジに手を上げ、活動を始めています!
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